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キホンのお酒事典

~お酒を味わい、お酒に出会う、基本の用語集~

極論、お酒を楽しむために最も欠かせないことは、純粋に「美味しい」と味わえる心と、食卓を華やかに彩る笑顔です。
ですが、お酒一つひとつが持つ個性やストーリーを感じ、そのワケさえも味わえたなら。
たまには知識やウンチクも、知らなかった味や香りを気づかせてくれる、魔法のスパイスとなってくれます。そして「好きな味」を代弁してくれる言葉は、まだ見ぬ美味しいお酒を探す時は案内人となって、新しい出会いをもたらしてくれるでしょう。
それでは、言葉とお酒に出会う「キホンのお酒事典」と乾杯を!

焼酎

焼酎

本格焼酎(芋、米、麦、黒糖焼酎 など)

焼酎は戦国時代に九州で始まったとされる、日本で最も古い「蒸留酒(※)」です。主には農作物の持ち味や風味を生かしたお酒は、とりわけ「本格焼酎」にその個性を感じ取ることができます。「本格焼酎」とは、芋、米、麦、黒糖焼酎など、原材料の名前が頭につけられた焼酎のことを総称した言葉です。

※ 蒸留酒 / 農作物や植物を原料にアルコール発酵させた「醸造酒」を蒸留させた酒

甲類焼酎

本格焼酎のように、素材由来の味や香りなどの個性を持たせない、無味無臭のクリアな焼酎のことを「甲類焼酎」といいます。連続して蒸留を行うことでできる高アルコールの蒸留酒に、水を加えて造られます。透明で香りのない甲類焼酎は、果汁などを加えてソーダで割る酎ハイや、果実酒作りなどに使われます。

蒸留(常圧蒸留、減圧蒸留)

焼酎は原材料はもちろん、蒸留方法でも大きく味わいが変わるお酒です。伝統的で熟成効果が高い「常圧蒸留」、低温で蒸留する「減圧蒸留」の2つの蒸留方法を主流に、目指す味に合わせて使い分けられています。常圧蒸留は原材料本来の風味がよい味わいに、減圧蒸留はすっきりとみずみずしい味わいに仕上がります。

麹菌(白麹菌、黒麹菌、黄麹菌)

焼酎造りには、でんぷんを糖に変えることで、アルコールを作り出すもとになる麹菌とその種類が、味の決め手のひとつとなっています。主には、穏やかでやさしい味わいになる「白麹菌」、しっかりとした深みと香味がある「黒麹菌」、もとは日本酒用の麹菌で、吟醸酒のような華のある香りを出す「黄麹菌」が使われています。

無濾過

瓶に「無濾過」と記載されている焼酎を見かけたことがありませんか?これは、おおよその焼酎が「濾過」という工程を経て出来上がるなかでも、あえて濾過を行っていない焼酎に記されているものです。無濾過の焼酎では、香味成分(フーゼル油)などが除かれないことで、昔ながらの豊かな風味が味わえます。

泡盛

泡盛

泡盛、琉球泡盛

1400年代、現在のタイから持ち込んだタイ米と蒸留技術をもとに琉球王国で育まれた、日本の蒸留酒のルーツとされる「泡盛」。伝統的に黒麹菌を使って米をすべて米麹にし、水と酵母を加えたのち発酵させて造られます。そのなかでも、本場の泡盛としての条件を満たした「琉球泡盛」は、「本場泡盛」とともに区別されています。

古酒(クース)

泡盛には、長い年月をかけてお酒を熟成させる楽しみ、あるいは次の世代へとお酒を継承していく、伝統の「古酒(クース)」という哲学があります。寝かせることで甘く芳醇な香りと、まろやかな舌触りを育てる古酒は味わいを深めるのみならず、家族の、そして沖縄の宝としても大切に受け継がれています。

仕次ぎ

1世紀を超えて熟成を重ねることもある古酒を育てるための技術が、沖縄には琉球王朝時代から伝えられています。年数違い、複数の古酒の注ぎ足しを行うことでお酒を循環させる、伝統的な「仕次ぎ(しつぎ)」です。熟成した香りと味わいを守りながらお酒の劣化を防ぐ仕次ぎは、体力と気力も膨大に要するため、現在は行われることも希少な技でもあります。

甕熟成(かめじゅくせい)、樽熟成

泡盛を熟成させるとき、熟成時間のみならず「何に入れて寝かせるか」という点も、泡盛の味を左右するポイントになっています。主には、いくつかの種類から味わいに合わせて熟成容器が選ばれ寝かされる泡盛ですが、とりわけ古酒に育てばカラメルのような甘い香りに優れる「甕熟成」、木樽の香りがお酒に移る風味豊かな「樽熟成」の泡盛は、熟成容器による影響を大きく受けるお酒です。

ビール

ビール

ビール

「世界で一番多く生産・消費されている“麦の酒”」、ビール。大麦麦芽と水、ホップを主原料にアルコール発酵させた、メソポタミア文明に起源を持つ「醸造酒(※)」です。また「世界で一番種類が多い酒」でもあるビールには、原料や醸造方法の組み合わせにより100以上のカテゴリーがあり、それを「ビアスタイル」といいます。

※ 醸造酒 / 農作物や植物を原料にアルコール発酵させた酒

エール、ラガー

ビールの味わいを左右するのは大麦や酵母の種類、水質、ホップのバランスですが、最も決め手となるのが酵母の種類です。ビールを醸す酵母は主に「エール」と「ラガー」に大別され、味わいにそれぞれの特徴があります。エールビールはフルーティーで豊かな香りを、ラガービールはスッキリとした飲みやすさと喉越しを楽しむことができます。

IBU(アイビーユー)

IBUとは「国際苦味単位(International Bitterness Units)」の略称で、ビールの苦みを数値化したものです。 IBUが高いほど苦味が強く、低いと苦味が控えめなビールであることを表します。「ABV(アルコール度数)」と合わせてビールの容器、お店のメニューなどに表記があることも多いので、ビール選びの際は指標にしてみましょう。

モルト(麦芽)、ホップ

ビールの主原料「モルト(麦芽)」と「ホップ」には、それぞれ役割があります。大麦を発芽させた“ビールの魂”こと「モルト(麦芽)」は、ビールの色味と旨味、香りなどに影響を与えるもので、ビールの性格を決定付ける重要な役割を担っています。アサ科の多年生つる草“ビールの生命”である「ホップ」は、ビール特有の苦みと芳香、ビールの保存性や泡持ちを良くする役割を果たしています。

ビアスタイル

ホップを効かせたフレッシュな「ペールエール」、小麦の麦芽などを使った、甘くフルーティーな「ホワイトビール」、ヴァイツェン酵母による華やかな香りが立つ「ヴァイツェン」、ホップを贅沢に使った、痛快な苦味の「IPA」、香味が爽快な世界の主流、黄金色のビール「ピルスナー」、濃厚で香ばしい黒ビール「スタウト」など。いずれも「ビアスタイル」の代表的なスタイルの名称です。お気に入りのビアスタイルを見つけておくと、ビール選びが格段にわかりやすくなります。

スピリッツ

スピリッツ

スピリッツ、世界四大スピリッツ

原材料を発酵した液体を蒸留したお酒(蒸留酒)の総称が「スピリッツ」です。ラテン語で「生命の水」を表す言葉が語源となりました。寒冷地で生まれた穀物のお酒「ウォッカ」、豊かに香る広がる「ジン」、カリブ海発祥のサトウキビのお酒「ラム」、メキシコ発・多肉植物のお酒「テキーラ」が「世界四大スピリッツ」と呼ばれています。

ラム

◆ ラム、アグリコールラム

中米のカリブ海で生まれた、甘い香りと深い味わいを持つスピリッツ。サトウキビの搾り汁を煮つめ、砂糖を作ったのちにできる糖蜜を原料に、発酵、蒸留、熟成をさせたお酒です。そのなかでも副産物である糖蜜ではなく、新鮮な100%のサトウキビジュースを原料としたラム「アグリコールラム」は、高品質なものとして区別されています。

◆ ホワイトラム、ゴールドラム、ダークラム

ラムは、主に色の濃淡と風味によって分類することができます。色による分類は以下の3種類。濾過によりクリアに仕上がった「ホワイトラム」、ホワイトラムをカラメルなどで色付けした「ゴールドラム」、樽熟成などにより濃い褐色に出来上がる「ダークラム」です。

◆ ライトラム、ミディアムラム、ヘビーラム

風味の重さによっても、ラムは分類されます。風味による分類は以下の3種類。風味が軽く、カクテルベースに使われやすい「ライトラム」、ラムらしい香りと滑らかな口当たりが特徴の「ミディアムラム」、昔ながらの製法で造られたのち熟成させた、濃厚な味わいの「ヘビーラム」です。

ジン

◆ ジン、クラフトジン

熱病に効く薬としてオランダで生まれたジン。無味無臭のウォッカと同じく、穀物類を原料にしたお酒ですが「香りを楽しむお酒」という点で違いがあります。特徴的に数十種類の香草や薬草などを使用して香り付けされるジンは、原材料の自由性の高さから地域性が表現されやすく、近年、職人技により少量生産される「クラフトジン」ブームを巻き起こしています。

◆ ボタニカル、ジュニパーベリー

ジンの香りを造り出す、数十種類の香草や薬草などの原材料のことを「ボタニカル」と呼びます。ジンには、針葉樹から採れる「ジュニパーベリー(西洋ねずの実)」を必ず使用することのほか、どんなボタニカルを組み合わせてもよいとされる、自由度の高さが魅力のお酒です。銘柄により香りも多種多様なため、ぜひ原材料をチェックしてみてください。

その他

その他

ワイン

キリスト教とともにヨーロッパ全域に広まった、世界最古の歴史を持つお酒。ブドウそのものを発酵させて造られるため、ブドウの品種が味わいに大きく影響するお酒でもあります。一般的な赤・白・ロゼ・スパークリングのほか、琥珀色の「アンバーワイン(オレンジワイン)」、香草や果物などで香り付けする「フレーバードワイン」などもあります。

◆ 赤ワイン、白ワイン、ロゼワイン

製法によって色味が異なるワインはそれぞれ、味わいや楽しみ方にも特徴を持っています。二代巨頭の「赤ワイン」「白ワイン」は次の通り。「赤ワイン」はブドウの果肉、種や果皮などが一緒に発酵されることで、渋みのある味わいに、「白ワイン」にはブドウの果肉のみが使われ、主にはブドウの熟度により味の違い(甘口・辛口)が現れます。赤ワインと同じブドウを使い、発酵途中で果皮を取り出す淡いバラ色の「ロゼワイン」は、色の美しさを堪能する楽しみ方も特徴的です。

◆ ライトボディ、ミディアムボディ、フルボディ

もともとは「男性的」「女性的」などと、味わいを表現されることが多かったワインには、コクや力強さ、重みや渋みを表す「ボディ(身体を意味する)」が目安として、いつしか使われるようになりました。ボディは赤ワインに対して使われる表現で、色合いと渋みが軽い「ライトボディ」、ほどよい渋みの「ミディアムボディ」、色合い、渋みともに濃厚な「フルボディ」の3つに分類されます。

リキュール

蒸留酒に果物や薬草などを漬け込んだ「混成酒(※)」のこと。主には「フルーツ(果実)系」、「ハーブ、スパイス(香草・薬草)系」、果物の種、コーヒーなどの香りを付けた「ナッツ、ビーン、カーネル(種子)系」、卵や乳製品など、動物性の素材から造られる「スペシャリティーズ(特殊)系」の4つに、代表的に分けられています。

※ 混成酒 / 醸造酒や蒸留酒に香料や果実、糖などを加えたり、漬けたりした酒

◆ カクテル(ショート・カクテル、ロング・カクテル)

あるお酒をベースに、風味づけの別のお酒、あるいはジュースや炭酸飲料などの割り材を加えて作られるミックスドリンク。小ぶりのカクテルグラスに注がれる「ショート・カクテル」と、氷を入れ、ソーダやジュースで割った「ロング・カクテル」の2種類に分かれています。注がれてすぐの温度が美味しいショート・カクテルは10~15分のうちに、氷が入ったロング・カクテルなら、ゆっくりと歓談しながら飲むのがベスト。比較的アルコール度数が低いロング・カクテルは、お酒が弱い方にもおすすめです。