焼酎づくりで磨かれた技でつくる
ビールと、街の新たな玄関口

ブルワリーとして製造を再開する以前、近年では酒販業に徹していた原田酒造。その間、蔵人・経営者として他酒造に在籍していた原田さんであったが、焼酎づくりの技を生かしたビールづくりを行うという前代未聞のアイデアを前に、静かに燃えていた。「48都道府県中、長崎だけ地ビールがない。長崎に、壱岐にクラフトビールがあれば純粋に面白いと、アイデアを巡らせていました。そして焼酎、日本酒、そこにビールが加われば、壱岐はお酒の島として、もっと喜ばれる島になる。地域を盛り上げる起爆剤にもなればと思いました」。
こうして焼酎づくりのノウハウと壱岐の食材をとことん生かしたクラフトビールを届けるアイランドブルワリーは、2021年に誕生。「少し寂しくなった街に、再び人が集いますように」。そう願いを込めた、イカ釣り漁船の集魚灯がモチーフのロゴマークを掲げて航海をはじめたブルワリーと街には、地域や年齢層に括らず、すでに新たな訪問客の姿がある。

アイランドブルワリー 原田 知征 さん

白麹と地元の素材を使い表現される
独自の酸味と香りに優れるビール

壱岐の食材の中でもとりわけ自慢の、魚とのペアリングを念頭に設計されたクラフトビールには、焼酎づくりに登場する白麹が副原料として使用されている。白麹を取り入れることで、クエン酸を含む麹が生み出す自然由来の酸味がフワリと広がり、食中酒としては理想的な味わいに仕上がるからだ。
加えて原料の味や香りがダイレクトに表現されるエールを中心につくられるビールには長崎県産、壱岐産にこだわった素材を多数取り入れ、常時5～7種類を幅広く揃えている。「原料や醸造方法などに違いを持たせたビアスタイルは、世界に100種類以上あります。当社でも月に1種類、新たなビールをつくり、ラインナップを変えながら提供しています。アイランドブルワリーのビールを通して、自分の好きなビアスタイルを見つけてください」。店頭でも不動の人気を誇る3種類の定番ビール、 壱岐の海風を想像させるほど軽快な味・香りの逸品で、ぜひ飲み比べを。