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ワイン醸造用の「ワイン酵母」による仕込みに挑んだ、老舗ならではの技が光る、まったく新しい純米焼酎。スッキリとした喉越しと、スミレの花のような余韻ある華やかな香りが新鮮。
食中酒 芳香 球磨焼酎 米焼酎 減圧蒸留
経験した人というのは、応用に強い。その手と頭にしっかりと刻みこんだ知恵で波に耐えることもできれば、新しい波をつくる柔軟さにも恵まれているからだ。大正元年創業の常楽酒造も、例えばそんな人に似ている。球磨焼酎(米焼酎)を主軸に、芋焼酎、麦焼酎、リキュールはフルーツリキュール、ヨーグルトリキュールなど。寄せられるさまざまなニーズとともに、ジャンルレスに多種多様な銘柄を誕生させてきた常楽酒造。それらは、球磨焼酎のどの蔵よりも先んじて挑んだという、樫樽貯蔵による米焼酎「秋の露 樽」発売以来、一貫して変わらない酒造のチャレンジングなセオリーが種になってきた。
そしてまた、新たな“種”から育てられた新銘柄が「米焼酎では類を見ない新星」として話題を呼んでいる。「圧倒的な個性を表現できた」と、その出来ばえを語ってくれたのは、開発を担当した副杜氏の吉田和弘さんだ。
「米焼酎では類を見ない新星」とは、ワイン酵母による高らかな香りを米焼酎として初めて具現化した「常楽 ワイン酵母仕込」だ。異例の酵母の掛け合わせに挑戦した逸品は決して「ワインのような焼酎」ではなく、米焼酎らしい魅力と、ワイン酵母が発揮する、ならではの魅力を余すことなく汲んだ、まったく新しい存在。そのため、とりわけ素材の相性を探る工程には根気が必要だったそうだ。「酵母の特徴を最も引き出してくれるのは、やはり原料香にクセがない米焼酎。これは、芋・麦焼酎を作っている常楽だからこそ、確信を持って感じられたことでした」。ワイン酵母由来のスミレの花のように華やな香りが通る減圧蒸留による焼酎は、濾過を最小限に留めることで米油の旨みと甘みも生かされながら、酒造が培ってきた長年の経験値により、言うことなしのベストバランスをかたどった。
「食べて飲んで、という時間を楽しめるのが米焼酎。常楽はさまざまなお酒造りに取り組んでいますが、創業以来、全銘柄に共通して意識されていることは、あくまでも食事に沿う名脇役、食中酒であることです」。「常楽 ワイン酵母仕込」もまた、その意思を継いだ焼酎だ。香りもいたって柔らかく、あらゆる食卓に華を添える一本に仕上げられている。鯛のカルパッチョやローストビーフ、イタリアンサラダなど、素材の繊細なテイストを味わいたいメニューには、特段おすすめだ。
さまざまな食事、すなわち食事に沿う飲み方にアレンジが効くように、焼酎のアルコール度数としては少々高めの28度とされている点も酒造らしい配慮。水やソーダなどの割り材で割っても、十分に香りが引き立ち、飲みごたえが保たれる工夫が凝らされている。焼酎ファンなら新たなベクトルに、焼酎ビギナー、ワイン好きにもぜひトライしてほしい一本だ。